◆対象商標:
「プール安全管理者」
◆指定商品役務:
第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2015-19839
◆審決日:
2016/03/11
◆関連条文:
商標法第4条第1項第7号
<本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる>
◆結論:
原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
◆理由:
本願商標の構成中の「プール」の文字は、「水泳のために人工的に水を溜めた所。」の意味を、「安全」の文字は、「物事が損傷したり、危害を受けたりするおそれのないこと。」の意味を、また「管理」の文字は、「管轄し処理すること。良い状態を保つように処置すること。とりしきること。」の意味を、さらに「者」の文字は、「その道になれた者。」の意味(いずれも、株式会社岩波書店「広辞苑第六版」)を有する語であり、いずれの語も一般に良く慣れ親しんでいる語といえるから、本願商標からは、全体として、「プールの安全を管理する者」程の意味合いを容易に想起されるものである。
そして、「プール安全管理者」と同一又は類似する名称の国家資格等は存在しないばかりでなく、これと同一又は類似する名称が、他の法律によって、その使用を制限されているといった事実を見いだすこともできなかった。
なお、平成19年3月に文部科学省及び国土交通省により、「プールの安全標準指針」が策定されたことにより、プールにおける安全確保のための講習会や資格の取得が民間団体等で行われており、「プール安全管理」、「プールの安全管理責任者」等の表示が用いられている実情がある。
そうすると、本願商標をその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者は、上記意味合いを認識するにとどまり、本願商標を直ちに国家資格等を表す名称の一つであるかのごとく誤認するおそれはないとみるのが相当である。
してみれば、本願商標が国家資格等に対する社会的信頼を失わせるおそれがあるということもできない。
したがって、本願商標は、社会公共の利益に反するものではなく、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものということはできない。
よって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
◆コメント:
原査定では、「法律に定めのある『安全管理者』の一つであるかのように、誤信させるおそれがある」との理由で拒絶査定となった。
しかし、本審決説示のとおり、本願商標に接した取引者等は、「プールの安全を管理する者」程の意味合いを想起するのみで、国家資格等を表す名称の一つであるかのごとく誤認するおそれはないであろう。
妥当な審決であったと考える。
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