◆対象商標:
「完熟トマトのハヤシライスソース」
◆指定商品役務:
第29類「トマト風味のハヤシライスのもと,トマトを使用してなるハヤシライスのもと,トマト風味のレトルトパウチ入り調理済みハヤシライスソース,トマトを使用してなるレトルトパウチ入り調理済みハヤシライスソース」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2015-12657
◆審決日:
2015/12/15
◆関連条文:
商標法第3条第1項第3号
商標法第3条第2項
<本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる>
◆結論:
原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
◆理由:
1 商標法第3項第1項第3号該当性について
本願商標の「完熟トマト」の文字部分は、「完熟」の語が「果実または種子が十分熟し、内容も充実した状態になること。」を意味するものであるから、「十分に熟したトマト」の意味合いを容易に認識させるものである。
また、「ハヤシライスソース」の文字部分は、「ハヤシライス」の語が「薄切りの牛肉・玉葱を炒め、トマト-ケチャップやドミグラス-ソースなどを入れて煮込み、飯の上にかけた洋風料理。」を意味し、「ソース」の語が「西洋料理の調味に用いる液体。」等を意味するものであるから、「ハヤシライス用のソース」であることを容易に認識させるものである。
してみると、本願商標は、全体として「十分に熟したトマトを使用したハヤシライス用のソース」ほどの意味合いを容易に認識させるものというのが相当である。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成全体から上記意味合いを把握、理解し、商品の品質を表示するものと認識するにとどまるというのが相当であるから、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 商標法第3条第2項該当性について
請求人提出の証拠等から、請求人は、1996年8月から使用標章1(「完熟トマトの」と「ハヤシライスソース」を二段書きしてなる)を商品「ハヤシライスのルウ」に使用し、該商品の全国販売を開始している。
使用商品は、2002年以降の長年にわたり毎年20億円を超える販売額を有し、その市場において圧倒的なシェアを有しているものである。さらには、使用商品のテレビCMを継続して行い、大々的な宣伝広告がなされてきたといえるものである。
そして、このような販売実績及び宣伝広告実績に基づき、20歳から59歳の既婚女性を対象とした調査において、82.5%が「完熟トマトのハヤシライスソース(ハウス食品)」を認知しているとの調査結果が出ているものがあることから、需要者の間における使用商品の認知度は高いものといえるものであり、さらには、東京商工会議所からも、本願商標が請求人の商標として需要者に周知である証明書が提出されている。
そうすると、本願商標は、使用をされた結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識するに至ったものというのが相当である。
3 まとめ
よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものであるから、原査定は、取消しを免れない。
◆コメント:
商標法第3条第2項の立証の際には、従来より言われていることだが、アンケート調査の結果を提示することが効果的である。
妥当な審決であったと考える。
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