◆対象商標:
「現代墓石」
◆指定商品役務:
第19類「墓石」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2015-11130
◆審決日:
2015/11/10
◆関連条文:
商標法第3条第1項第3号
本件審判の請求は、成り立たない。
◆理由:
(1)商標法第3条第1項第3号の該当性について
本願商標、「現代」の語と「墓石」の文字からなるものと容易に看取されるものであり、その構成中の「墓石」の文字は、本願の指定商品の普通名称を表すものであることから、本願商標からは、「現代の墓石」という意味合いを直ちに理解するものである。
そして、近年は、昔ながらの和型三段墓のようなお墓を建てる人が少なくなり、現代的な感覚を取り入れた形や刻字の墓石に変化している事情がうかがえる。
上記の事情の下、「現代墓石」及び「現代墓」の文字は、本願の指定商品を取り扱う業界において、従来の形式や固定観念にとらわれない、自由で個性的なお墓の総称として使用されており、具体的には、建立者の自由な発想で墓石の色、形、字体等のデザイン、墓石に刻印する文字等を選択、採用した墓石を表す言葉として使用されている。
そうすると、「現代墓石」の文字からなる本願商標は、その指定商品「墓石」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「従来の形式にとらわれず、デザイン等を選択できる現代的な感覚を取り入れた墓石」であることを理解、認識するにすぎず、単に商品の品質を表示するものというのが相当である。
よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標は、商品の品質・形状を直接的かつ具体的に示すものではなく、「今風の墓石」といった程度の抽象的な意味合いを暗示させるにとどまる造語であって、また、証拠調べ通知に示された用例からは、「現代墓石」の文字が統一された意味合いで使用されていないものであるから、本願商標が商品の品質を直接的に示した根拠とはならない旨主張する。
しかしながら、本願商標「現代墓石」の文字は、本願の指定商品を取り扱う業界において、「従来の形式にとらわれず、デザイン等を選択できる現代的な感覚を取り入れた墓石」という意味合いで使用されているものと認めることができるものであり、本願商標は、その指定商品の品質を表したものと認識されるというべきである。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
◆コメント:
「現代墓石」の語が、このような意味合いで使用されているとは筆者は知らなかった。
妥当な審決であると考える。