◆対象商標:
「Bianco caro\ビアンコカーロ」
◆指定商品役務:
第44類「理容,美容,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与」
◆種別と異議申立番号:
異議申立日
異議2015-900268
◆異議決定日:
2015/12/21
◆関連条文:
商標法第4条第1項第11号
商標法第4条第1項第15号
◆引用商標
登録第5644880号商標 「BIANCO」
<本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる>
◆結論:
登録第5769190号商標の商標登録を維持する。
◆理由:
(1)引用商標の周知性について
申立人提出の証拠から、引用商標は、申立人の業務に係る役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものということはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、いずれの文字も同書、同大でまとまりよく一体的に表され、これから生じる「ビアンコカーロ」の称呼も、格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標の構成中の「caro」「カーロ」の文字が美容室(院)などの店舗の名称又はその一部として用いられていること、及び美容、理容の業界においていわゆるマスターブランド名にサブブランド名を付加して表示することがあることが認められる。
しかし、これらの事情を考慮しても、本件商標の上記構成及び称呼、さらには、上記(1)のとおり引用商標が他人の業務に係る役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているといえないものであることをあわせみれば、本件商標は、看者をして「Bianco」の文字部分が着目されるというより、むしろ「Bianco caro」及び「ビアンコカーロ」の各文字の全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握されるとみるのが相当である。
さらに、本件商標は、その構成中「Bianco」の文字部分が取引者、需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるもの、又は、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認めるに足る事情は見いだせない。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体をもって「ビアンコカーロ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
称呼:
「ビアンコ」
観念:
特定の観念を生じない。
ウ 本件商標と引用商標との類否
外観:
相紛れるおそれはない。
称呼:
明確に聴別し得るものである。
観念:
比較することができない。
そうすれば、本件商標と引用商標1とは、観念においては、比較することができず、また、外観及び称呼において相紛れるおそれがないことから、両者は、互いに非類似の商標というべきである。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情も見いだせない。
エ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記(1)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているといえないものであり、上記(2)のとおり、本件商標は引用商標と外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
◆コメント:
本審決のポイントは、「caro」、「カーロ」が、指定役務を扱う業界において識別力がない語とは認定されなかったことにある。
本審決説示のとおり、確かに広く認識されているとは言い難いであろう。
妥当な審決であったと考える。
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