◆対象商標:
「磯野国際特許商標事務所」
◆指定商品役務
第45類「知的財産権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務,知的財産権の管理,知的財産権の監視,知的財産権に関する助言及びコンサルティング,知的財産権に関する調査,知的財産権に関する情報の提供,知的所有権に関わる技術情報の収集及び提供,知的財産の利用に関する情報の収集又は情報の提供,特許又は実用新案に関連する先行技術の調査及び先行技術に関する情報の提供,知的財産権の利用に関する契約の代理・媒介又は斡旋,知的財産権に関する契約の代理又は媒介,特定侵害訴訟の代理,知的財産権に関する訴訟事件の補佐,知的財産権に関する訴訟事件その他に関する法律事務,知的財産権に関する訴訟事件に対する指導・助言・相談又は情報の提供,知的財産に関する調停・仲裁事件の手続(当該手続に係る「和解の手続」を含む。)の代理,知的財産に関する裁判外紛争解決手続の代理,知的財産権に関する研究・解析・相談又は指導,法律・判決に関する情報の提供,知的財産権の取得に関する支援,特許図面・実用新案図面・意匠図面又は商標の作成,知的財産権の技術的価値の評価,商標及びドメインネームを含む知的財産権に関する研究・解析・相談・指導又は情報の収集及び提供,インターネットドメイン名の登録に関する法律事務,半導体回路配置利用権の利用に関する契約の代理又は媒介,関税法に規定する輸入差止申立て及びこれに関する手続の代理,著作権及び著作隣接権の保有管理並びに著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,著作権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務,プログラム著作物に関する手続の代理又は鑑定その他の事務,特定不正競争(弁理士法第2条第4項に規定される特定不正競争)に関する調査・鑑定・助言・手続の代理・その他の事務,種苗法に基づく品種登録に関する手続の代理その他の事務,育成者権の利用に関する契約の代理又は媒介,登記又は供託に関する手続の代理,外国の知的財産権に関する調査及び情報の提供,外国の行政官庁若しくはこれに準ずる機関に対する知的財産権に関する手続の仲介又は事務」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2015-11500
◆審決日:
2015/11/24
◆関連条文:
商標法第3条第1項第6号
<本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる>
◆結論:
原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
◆理由:
本願商標の構成中の「磯野」の文字は、姓氏の一つであり、全国で約3,642件存在し、947番目に多い氏である。
また、後半の「国際特許商標事務所」の文字部分は、原審説示のように、「我が国をはじめ外国の工業所有権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務等の役務を提供する場所」程の意味合いが認識され、この文字部分は、自他役務の識別標識としての機能がないか若しくは極めて弱い部分であるとみるのが自然である。
そして、商標法における商標登録の要件にあっては、ありふれた氏に「商店、商会、屋、家、協会、株式会社」等の名称を結合した標章の場合、その構成文字全体では、ありふれた名称となるものであり、自他役務の識別標識としての機能を有しないものとみるのが相当であって、本来的には、ありふれた氏は、誰もが使用を欲すべき名称となるものであるから、独占適応性に欠けるものといわなければならない。
ところで、本願商標中の「国際特許商標事務所」の文字は、上記意味合いを有する弁理士の事務所名として使用される文字であり、弁理士法によれば、「弁理士又は特許業務法人でない者は、弁理士若しくは特許事務所又はこれらに類似する名称を用いてはならない。」と規定されており、一般の誰もが採択し、使用することができるものではない。
また、平成26年3月31日現在における、日本弁理士会会員は、弁理士が10,655人であり、「磯野」の氏の弁理士は、本人を含めわずかに3名のみである。
そうすると、「磯野」という氏は、我が国において、さほどありふれた氏の一つといえるものではなく、また、知的財産権に係る弁理士業界では、弁理士業務を行っている「磯野」という氏は、極めて少ない氏であるというのが相当である。
そうすれば、知的財産権に係る弁理士業界において、その構成員中に極めて少ない氏である「磯野」の文字と、一般の誰もが採択し、使用することができない「国際特許商標事務所」の文字とを一連に結合してなる本願商標は、独占適応性に欠ける商標ということができないものであって、「固有の事務所又はその事務所の名称」として、需要者、取引者に認識されるものというのが相当である。
よって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。
◆コメント:
「国際特許商標事務所」の文字が限られた者しか用いることができず、その限られた者の中で「磯野」の姓はわずか3人であることが、独占適応性に欠けることはないという論理であった。
今後、近似した事例での判断が待たれる。
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