◆対象商標:
「日本富士山油条」
◆指定商品役務:
第30類「油条」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2016-5892
◆審決日:
2016/11/02
◆関連条文:
商標法第3条第1項第3号
本件審判の請求は、成り立たない。
◆理由:
本願商標の「日本」分は、「わが国の国号」を表示するものであり、「富士山」は、「静岡・山梨両県の境にそびえる日本第一の高山。」を表示するものであり、「油条」の文字部分は、本願の指定商品であり、「小麦粉をこねて細長くして油で揚げたもの」を表示するものである。
そして、「富士山」は、その周辺地域を含め登山客をはじめとした多数の観光客が訪れる地域であるばかりではなく、「富士山」にちなんで、地域の名称に「富士」の文字を有する地名が周辺地域のみならず、日本各地に存在し、さらには、芸術等の文化分野においても、枚挙に遑がないほど多数取り上げられているなど、我が国を代表する山であり、我が国の国民であれば誰もが知っているといえるほど、一般に広く知られたものである。
さらに、多数の観光客が訪れる有名な観光地においては、観光客向けに土産物が製造、販売され、これらの商品には地域の名称が使用されているものであり、「富士山」についても、同様の事実が認められる。
してみると、「富士山」の文字と商品名を結合してなる表示は、それが商品に使用された場合、「富士山やその周辺地域で製造、販売されている商品」であることを容易に把握、理解させるといえるものである。
また、本願商標は、その構成中に「日本富士山」と表してなるもので、「富士山」の文字のみではないものの、「富士山」は「日本」、すなわち、我が国を代表する山であるから、「日本富士山」の文字に接する看者は、「富士山」であることの意味を超えて、他の意味合いを認識するとは考え難いものである。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「富士山及び富士山周辺地域で製造、販売されている油条」であること、すなわち、商品の産地、販売地を認識するにすぎないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
◆コメント:
請求人は、「本願商標は、「日本富士山」であり、単なる「富士山」とは異なる」との主張をしていたが、審判官は「「富士山」に「日本」の文字を冠したからといって、その認識が異なるものではない」としてその主張を斥けている。
妥当な審決であったと考える。