◆対象商標:
「やわらか電線」
◆指定商品役務:
第9類「電線及びケーブル」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2016-4301
◆審決日:
2016/12/28
◆関連条文:
商標法第3条第1項第3号
商標法第3条第2項
本件審判の請求は、成り立たない。
◆理由:
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標の構成中、「やわらか」の文字は「堅くないさま。しなやかなさま。ふっくらしているさま。柔軟。」などを意味する語であり、また、「電線」の文字は、本願の指定商品「電線及びケーブル」における普通名称を表すものであるから、本願商標全体としては、「やわらかな(堅くない、柔軟な)電線」ほどの意味合いを認識させる。
そして、本願指定商品「電線及びケーブル」を取り扱う業界において、「柔らかいこと」あるいは「柔軟性を有すること」を商品の品質(特徴)として販売されている事実及びやわらかい品質を有する商品について「やわらか」の文字と本願の指定商品「電線及びケーブル」における普通名称である「ケーブル」又は「コード」の文字とを結合あるいは近接して使用している事実が認められる。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、本願商標全体から看取される「やわらかな(堅くない、柔軟な)電線」の意味合いから、商品の品質を表示したものと認識、理解するというのが相当である。また、本願商標は標準文字で表されたものであるから、態様上顕著な特徴は認められない。
よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項該当性について
請求人(出願人)が本願商標である「やわらか電線」の文字を含む標章を本願指定商品「電線及びケーブル」に包含される商品とともに、2011年(平成23年)8月ごろから2016年(平成28年)3月に至るまで、新聞、展覧会、インターネットによる販売等において使用している事実が認められる。
しかし、「やわらか電線」という語が、本願商標の指定商品「電線及びケーブル」を取り扱う業界において一般に使用されている「やわらか」と「電線」という語を結合したものであること、本願商標を付した商品の販売数量及び「電線及びケーブル」全体に占めるシェアなどは不明であること、使用期間も5年あまりと短い期間であること、新聞等の掲載も10回程度、展示会への出展も4回ほどと、広告宣伝としては回数がそれほど多いとはいえないこと、また、前記の新聞(インターネットを含む。)及び展示会以外による広告宣伝の方法、範囲及び回数について確認できる証拠は提出されていないこと等を総合考慮すると、使用により本願商標である「やわらか電線」をもって、需要者が出願人の業務に係る商品であることを認識できるに至っていると認めることはできず、商標法第3条第2項の要件を具備するものではない。
(3)まとめ
よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
◆コメント:
妥当な審決であったと考える。
なお、特許庁は商標法第3条第2項の判断に際しては、使用期間の長短を重んずる傾向にあると考える。