◆対象商標:
「シチズンエム」
◆指定商品役務
第43類「宿泊施設の提供」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2016-15413
◆審決日:
2016/12/14
◆関連条文:
商標法第4条第1項第15号
◆引用商標
時計メーカー「シチズン時計株式会社」が商品「時計」に使う「CITIZEN」及び「シチズン」の文字からなる商標
原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
◆理由:
(1)「CITIZEN」及び「シチズン」商標の著名性について
「CITIZEN」及び「シチズン」の文字からなる商標は、、「シチズン時計株式会社」が商品「時計」について使用して、「時計」を取り扱う分野において、本願の登録出願前から、現在に至るまで、我が国の需要者に広く認識されているものとなっていることは、顕著な事実である。
(2)本願商標と引用商標との類似性について
本願商標「シチズンエム」は同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で外観上まとまりよく、一体的に表され、これより生じる「シチズンエム」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであり、また、この文字からは、直ちに特定の意味合いを看取し得るものとはいい難く、その構成文字全体をもって一体不可分の一種の造語を表したものとして理解されるとみるのが相当である。
他方、引用商標は、「CITIZEN」及び「シチズン」の文字からなるところ、この「CITIZEN」の文字は、「市民、国民」等の意味を有する一般に知られている英語であって、また、該「シチズン」の文字は、「CITIZEN」の文字の読みを片仮名で表記したものとして理解されるものである。
してみれば、引用商標は、これらの構成文字に相応して、「シチズン」の称呼を生じ、「市民、国民」の観念を生じるものである。
ア)本願商標と引用商標との類否
外観:
判然と区別し得る。
称呼:
明瞭に区別できる。
観念:
比較することはできない。
これより、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(3)本願商標の指定役務と他人の業務に係る商品との間の性質、用途又は目的における関連性の程度について
本願商標の指定役務は、第43類「宿泊施設の提供」であるのに対し、引用商標に関する商品は、「時計」であり、両者は、その役務と商品の内容において、分野が著しく異なるものであるから、互いの役務と商品間の関連性が乏しいものであり、その需要者の共通性も低いものといえる。
また、「シチズン時計株式会社」が「時計」以外の分野において、多角的に業務を行っている事情も認められない。
(4)まとめ
引用商標が本願商標の登録出願前より需要者に広く認識されていたものであるとしても、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、互いに相紛れるおそれのない非類似の別異の商標であり、また、本願の指定役務と引用商標に関する商品は、互いの役務と商品間の分野が著しく異なるものである。
よって、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当しない。
◆コメント:
「シチズン」の著名性に鑑みると、本願商標「シチズンエム」の要部を「シチズン」であると認定するとも思われたが、本審決ではそのような判断をしなかった。
その一因として、引用商標の商品「時計」と本願商標の役務「宿泊施設の提供」とがあまりにも分野等において著しくことなるからであろう。