◆対象商標:
「シニア大学」
◆指定商品役務
第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2017-5053
◆審決日:
2018/01/12
◆関連条文:
商標法第3条第1項第3号
<本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる>
◆結論:
本件審判の請求は、成り立たない。
◆理由:
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標の「シニア」は、「年長者。高齢者。」等の意味を有する語であり、「大学」は、「高等教育の中核をなす教育機関。俗に、社会人を対象にした教養講座のこと。」等の意味を有する語として、いずれも一般に親しまれ、よく知られた語といえるものである。
また、インターネット上のサービスである「コトバンク」のウェブサイトには、「老人大学」の項に「高齢者を対象とした教養講座。定年後もみずからの教養を高め、学び続けたいと願う高齢者のために、おおむね60歳以上を対象に開設される。生涯学習の場を提供し、高齢者の生きがいや健康づくりを支援する。シニア大学、シルバー大学、高齢者大学とも呼ばれる。自治体が老人大学運営事業の実施要綱を作成し、福祉課や教育委員会が主管するもの、社会福祉協議会や老人会などの団体が支援するものなどがある。」の記載がある。
さらに、本願指定役務と関連の深い分野において、自治体や公益財団法人等が、本願商標である「シニア大学」の文字を使用している実情があり、これらの情報によれば、例えば、「シニア大学」の説明として、「・・・生涯学習に取り組む京都シニア大学(京都市)の英会話同好会。」、「地域活動リーダーの養成を目的とした、高齢者が対象の学習講座です。」、「4年間継続して学習・自治活動を志す高齢者のための大学です。」、「・・・、市内に居住する60才以上の市民で年間継続して学習しようとする方を対象として開設しています。」、「シニアの皆さん、さらに教養を高め、たくさん笑って生きがいのある充実した生活を送りませんか。」等の記載がある。
これより、「シニア大学」の文字は、総じて「高齢者を対象とした教養講座又は学習講座」の意味合いで使用されているものである。
してみれば、本願商標を、その指定役務に使用しても、これに接する需要者は、「高齢者を対象とした教養講座又は学習講座」を内容とする役務を表したものとして理解するものであり、自他役務の識別標識としては認識し得ないものであって、本願商標は、その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
◆コメント:
本審決では、「シニア大学」の使用例を10件以上提示している。
これだけ、使用例を提示されれば、請求人にとっても納得せざる得ないのではないだろうか。
妥当な審決であったと考える。
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