◆対象商標:
「セル・ドゥ・メール」
◆指定商品役務:
第30類「菓子」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2017-9363
◆審決日:
2018/03/06
◆関連条文:
商標法第4条第1項第15号
◆引用商標:
フランス国所在のユーリアル社が商品「発酵バター」に使用する商標「セル・ドゥ・メール」
<本商標が上記条文に該当するか結果と理由をみる>
◆結論:
原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
◆理由:
本願商標は、「海の塩」を意味するフランス語の「Sel de Mer」を片仮名で表したといえるものであるから、全体として「海の塩」ほどの意味合いを有する。
そして、「セル・ドゥ・メール」の文字は、フランスのユーリアル社が商品「発酵バター」について使用するものであることは認められるものの、この文字が、同社の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されている事実を発見することができなかった。
また、「セル・ドゥ・メール」の文字は、フランス語の「Sel de Mer」の文字を片仮名で表したものであって、その意味合いは品質表示とも理解されるものであるから、該語は造語としての独創性を有するものではないというのが相当である。
加えて、本願商標の指定商品「菓子」は、ユーリアル社が「セル・ドゥ・メール」の文字を使用する商品「発酵バター」とは、その商品の製造業者や流通経路等を異にするものである。
以上を総合的に勘案すれば、出願人が本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、ユーリアル社の使用する標章を想起、連想することは無いというのが相当であるから、その商品が同社又は同社と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
◆コメント
結論に関しては異論はないが、判断の過程において疑問が残る審決である。
フランス語の「Sel de Mer」は、我が国においては、ほぼ馴染みのない語であり、これに接した看者が、「海の塩」と想起する可能性は極めて低いであろう。
であるなら、本件商標の観念はなく、また本件商標の意味合いを品質表示ということはないであろう。
判断の過程において疑問が残る審決であった。
審決公報はここをクリック。
関連