◆対象商標:
「MIYATACHIKA」
◆指定商品役務:
第18類「皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類」等
第25類「ポロシャツ,スウェットシャツ」等
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2017-13410
◆審決日:
2017/12/14
◆関連条文:
商標法第4条第1項第8号
原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
◆理由:
本願商標「MIYATACHIKA」は、その構成文字に相応して、「ミヤタチカ」との称呼のみを生じる。
「MIYATACHIKA」との欧文字は、一般的な外国語辞典や国語辞典等には載録のない語であるところ、「ミヤタチカ」と称呼される語としては、原審が説示する、雑誌などでのイラストを連載し、書籍、広告、壁画制作、ワークショップなどジャンルを問わずに幅広く活躍する「ミヤタチカ」氏のほか、同称呼を有する日本人の氏名を連想、想起させる場合はあり得る。
ところで、日本人の氏名をローマ字表記することは広く行われているものの、その表記方法としては、例えば、姓と名との間にスペースやコンマを入れたり、姓と名の頭文字のみを大文字でそれ以外を小文字で表記したりするなど、姓と名の区切りを明らかにして表記するのが通例である。
したがって、そのような姓と名の区切りを一切設けることなく、全てを大文字にて一連に表記したものは、姓と名の区切りが必ずしも明らかではないため、直ちに、日本人の氏名を表したものとは認識、理解できず、全体として特定の意味を有さない造語を欧文字で表してなるものと看取される可能性もある。
以上を踏まえると、本願商標「MIYATACHIKA」は、日本人の氏名としては、姓と名に相当する部分の区切りが必ずしも明らかではなく、このような欧文字表記により直ちに特定の人物の氏名が特定されるような特段の事情も見いだせないことよりすれば、本願商標をして、直ちに、特定の日本人の氏名を表したものということはできない。
また、本願商標の登録出願時において、本願商標の構成文字である「MIYATACHIKA」と一連に表記された欧文字が、原審が説示する「ミヤタチカ」氏を含めても、他人の氏名の著名な略称又は他人の著名な雅号、芸名、筆名若しくはこれらの著名な略称として一般に受け入れられていたことを認めるに足りる事実も見いだすことはできなかった。
これより、本願商標は、商標法第4条第1項第8号にいう「他人の氏名」を表したものとはいえず、他人の「著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称」を表したものとはいえないのだから、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
◆コメント
本願商標「MIYATACHIKA」は「宮田という地域の地下」 などとも想起させる可能性もあり、本審決説示のとおり、必ずしも特定の日本人の氏名を表したものとは言えないであろう。
妥当な審決であったと考える。