◆対象商標:
「揚げ天まる」
◆指定商品役務:
第43類「飲食物の提供」
◆種別と異議申立番号:
異議の決定
異議2017-900250
◆審決日:
2017/12/20
◆関連条文:
商標法第4条第1項第11号
商標法第4条第1項第15号
◆引用商標:
登録第4915663号商標 「天まる」
登録第5947895号商標の商標登録を維持する。
◆理由:
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
称呼:
「アゲテンマル」
観念:
特定の観念を生じない。
(2)引用商標について
称呼:
「テンマル」
観念:
特定の観念を生じない。
(3)本件商標と引用商標の類否について
外観:
両商標は、外観において、「揚げ」の文字の差異を有するから、明確に区別できる。
称呼:
両者は、「テンマル」の音を共通にするとしても、語頭音における「アゲ」の音の有無に明らかな差異を有し、この差異音が全体に与える影響は少なくないものであり、それぞれを一連に称呼した場合には、語調語感を異にし、明りょうに聴別し得る。
観念:
観念上、比較することができない
よって、両商標は非類似の商標であり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知、著名性について
申立人が提出した証拠によれば、申立人が、引用商標をその指定役務について使用している事実や、その他、引用商標の周知、著名性を立証するための資料は、いずれも提出されていない。
そうすると、引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(2)本件商標と引用商標との類似性について
前記のとおり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(3)引用商標の独創性について
引用商標は、「天まる」の文字からなるところ、該文字は辞書等に載録の無い語であって、特定の意味合いを有しない一種の造語として理解されるものであるから、造語としての独創性を有するものである。
(4)役務間の関連性及び取引者、需要者の共通性について
本件商標及び引用商標の指定役務は、共に第43類「飲食物の提供」であるから、両者は関連するものであり、取引者、需要者を共通にするものである。
(5)出所の混同のおそれ
前記(1)ないし(4)によれば、引用商標は、独創性を有し、その指定役務は関連性があり、取引者、需要者を共通にするものではあるものの、引用商標は、需要者の間に広く認識されているものと認めることができないものであり、かつ、本件商標と引用商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標であることからすると、本件商標の指定役務の取引者、需要者の普通に払われる注意力を基準とし、これらを総合的に勘案すれば、商標権者が、これをその指定役務に使用しても、取引者、需要者が引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が申立人あるいは申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
◆コメント
申立人は、被申立人が店舗にて使用している標章が、『揚げ』と『天まる』部分が独立して見る者の注意を引くように構成されていることからも明らかなように、提供する商品(天ぷら)の品質を表した『揚げ』と固有名詞である『天まる』からなる結合商標である等の主張をしているが、本件商標は同書同大同間隔で構成されており、本件商標は一連一体の商標と判断するのが妥当であろう。