◆対象商標:
「IL BAR\イルバール」
◆指定商品役務:
第43類「飲食物の提供」
◆種別と審判番号:
無効の審決
無効2015-890011
◆審決日:
2015/09/01
◆関連条文:
商標法第3条第1項第3号
本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
◆理由:
1 本件商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)本件商標の構成について
本件商標の「IL」の文字部分はイタリア語の定冠詞であり、「BAR」の文字部分は「(イタリア式の)スナック。喫茶店。」を意味するイタリア語であるほか、「バー、酒場」、「圧力の単位」や「かなてこ」を意味する英語である。
また、下段に表された「イルバール」の文字部分は、特定の意味合いを有する語として知られていないものであるが、上段の欧文字の読みを表すものとして無理なく認識されるものであるから、本件商標は、その構成文字に相応して「イルバール」と称呼されるものである。
そして、「IL BAR」の欧文字については、我が国においてイタリア語は一般的に馴染みの薄い外国語であるから、これに接する我が国の取引者、需要者は、その片仮名表記から「イルバール」と称呼するとしても、その構成全体からは、特定の意味合いを有しない造語として理解するというのが相当である。
(2)「IL BAR」及び「イルバール」の文字の使用について
本件商標の登録査定時における「IL BAR」又は「イルバール」の文字の使用件数は、申立人の店舗の18件のほか5件であり、「IL BAR(イルバール)」が本件商標の登録査定時において、主としてイタリア料理を提供する飲食店の店舗名として、飲食業界において、広く一般に使用されていたとはいえない。
また、提出された証拠からは、イタリア料理店の店舗名中に含まれる「IL BAR」又は「イルバール」の文字が、飲食業界において役務の質を表すものとして認識されているとの事実も認めることができない。
(3)判断
以上の認定事実を総合すると、我が国においてイタリア語は、馴染みの薄い外国語であるから、「飲食物の提供」についての一般の需要者はイタリア語に由来する「IL BAR/イルバール」の語はもとより「IL BAR」及び「イルバール」の各語については、一般に慣れ親しんだものとはいい難いことから、特定の意味を有しない造語として理解すると解される。
また、イタリア料理店の店舗名中に「IL BAR」又は「イルバール」の文字が使用されていたのは、、5店舗が認められるにすぎないものであって、「IL BAR(イルバール)」が本件商標の登録査定時において、主としてイタリア料理を提供する飲食店の店舗名として、飲食業界において、広く一般に使用されていたとはいえない。
さらに、「IL BAR(イルバール)」の文字が需要者によって指定役務の提供場所や質などを表すものとして認識されることはないと解される。
してみると、本件商標は、これをその指定役務に使用しても指定役務の提供場所や質などを表すものとして認識されることはなく、自他役務の識別標識として機能するものというべきである。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
◆コメント:
妥当な審決であったと考える。