◆対象商標:
「ISO-CHILL」
第29類「乳清を使用してなる食用たんぱく,食用たんぱく,乳清,乳製品」
◆種別と審判番号:
拒絶査定不服の審決
不服2014-24233
◆審決日:
2015/06/05
◆関連条文:
商標法第4条第1項第6号
本件審判の請求は、成り立たない。
◆理由:
(1)商標法第4条第1項第6号について
商標法第4条第1項第6号によれば、「国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であつて営利を目的としないもの・・・を表示する標章であつて著名なものと同一又は類似の商標」は、商標登録を受けることはできないとされている。
そして、商標法第4条第1項第6号の趣旨は、同号に掲げる団体の公共性に鑑み、その権威、信用を尊重するとともに、出所の混同を防いで需要者の利益を保護するものであると解される(知財高裁 平成20年(行ケ)第10351号判決、平成24年(行ケ)第10125号判決参照)。
(2)本願商標の商標法第4条第1項第6号該当性について
ア 「ISO」の文字について
「国際標準化機構(英語表記:International Organization for Standardization)」は、「国家間の製品やサービスの交換を助けるために、標準化活動の発展を促進すること」及び「知的、科学的、技術的、そして経済的活動における国家間協力を発展させること」を目的に、1947年に発足した国際的な団体であって、2012年12月には164ヶ国が参加し、我が国では、経済産業省に設置された審議会である日本工業標準調査会(JISC)が加入しているものである。
そして、「ISO」の文字は、「アイエスオー」又は「イソ」と称呼され、「国際標準化機構」を表す略称として、様々な辞書、ウェブサイト等に掲載されていることからすれば、「ISO」の文字は、我が国のみならず、世界各国において広く知られている標章である。
これより、「国際標準化機構」は、公益に関する団体であって営利を目的としないものといえ、その略称である「ISO」の文字は、「国際標準化機構」を表示するものとして、我が国のみならず、世界各国において広く知られている著名な標章というべきものである。
イ 本願商標と標章「ISO」の類否判断について
本願商標は、それを構成する「ISO」の文字及び「CHILL」の文字が辞書に掲載されているとしても、本願商標全体が一連一体の語句として特定の意味合いをもって、一般に親しまれているということはできない。
そうすると、本願商標は、ハイフンにより「ISO」の文字部分が分離して看取され得るといえるものであって、この文字部分に相応して、「アイエスオー」又は「イソ」の称呼をも生じるものであり、また、この文字部分から「国際標準化機構」の観念を生じるものとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、「国際標準化機構」を表示する著名な標章「ISO」と、全体の外観において相違するものの、「ISO」の文字部分において外観が類似し、称呼及び観念を同一にする、類似の商標である。
ウ 小括
よって、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当する。
◆コメント:
本願商標「ISO-CHILL」は、確かに著名な団体の略称である「ISO」を含むものではあるが、指定商品との関係から「ISO」の部分だけ分離して看取されるとは、言えないと考える。
疑問の残る審決であった。