◆対象商標:
「源ノ」
◆指定商品役務
第9類「電子応用機械器具及びその部品,磁気式の記録媒体に記録されたタイプフェイスフォント」
◆種別と異議申立番号:
異議の決定
異議2014-900366
◆異議決定日:
2016/09/27
◆関連条文:
商標法第4条第1項第11号
◆引用商標
登録第4824964号商標 「源」
登録第5707988号商標の商標登録を取り消す。
◆理由:
(1)申立人及びその使用に係る商標「源」等の周知・著名性について
申立人「源」商標において、本件商標の登録出願日までに、申立人の業務に係るフォントを収録した記録媒体(フロッピーディスク、CD-ROM)、ダウンロード可能なフォントデータを収録した商品のパッケージ、申立人の業務に係るフォントに関するチラシ・カタログ、各種展示会におけるブース等に表示され、例えば、新聞・雑誌やチラシ等の宣伝広告の頻度及び各種展示会の出展頻度等の高さ並びに申立人ないし「モトヤ書体」及び「モトヤフォント」の表示の著名度の高さに照らせば、申立人の業務に係る商品「磁気式の記録媒体に記録されたフォント、ダウンロード可能なフォントデータ」等を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、印刷業界、エレクトロニクス業界を中心とした各種業界の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。
(2)本件商標の商標第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、構成全体から特定の観念が生じないことに加え、その構成中の「源」の文字部分は、上記のとおり、周知・著名性が認められる。
そうすると、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「源」の文字部分に強く印象付けられ、該文字部分を本件商標における自他商品の識別機能を果たし得る部分と理解し、これより生ずる「ミナモト」又は「ゲン」の称呼をもって取引に当たる場合も決して少なくないものとみるのが相当である。
よって、
称呼:
「ミナモトノ」「ゲンノ」「ミナモト」「ゲン」
観念:
「みなもと氏の姓。水源。起源」
イ 引用商標
称呼:
「ミナモト」「ゲン」
観念:
「みなもと氏の姓。水源。起源」
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とは、「源」の文字部分において同じ文字であることから、外観上類似する商標といえるものであり、「ミナモト」又は「ゲン」の称呼及び「みなもと氏の姓。水源。起源」程の観念を同じくする場合があるものということができる。
したがって、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似する商標というべきである。
(3)むすび
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
◆コメント:
申立人の引用した商標「源」の周知著名性の認定に疑問が残る。
申立人は、あくまでモトヤフォントの一例(シンボル)として「源」を使用しており、商品名とは言えず、商標としての使用はしていなかったのではないかと考える。
疑問の残る審決であった。