◆対象商標:
「つや髪実感キャンペーン」
第3類「頭髪用化粧品、シャンプー」等
◆種別と審判番号:
異議の決定
異議2016-900130
◆審決日:
2017/02/07
◆関連条文:
商標法第3条第1項第6号
登録第5829133号商標の商標登録を取り消す。
◆理由:
当審において、本件商標権者に対して平成28年9月29日付けの取消理由通知書で通知した取消理由の内容は、以下のとおりである。
1 「つや髪」「実感キャンペーン」の語について
(1)「つや髪(艶髪・ツヤ髪)」の語について
以下のような使用の事実がある。
「オルジェノアヘアケア商品おすすめ9選 目指せツヤ髪!!
「TSUBAKI艶髪実感キャンペーン」
「艶とハリのある髪を育てるために!今日から3ヶ月ツヤ髪体感コース」
「大人のつや髪に挑戦」
「内側からうるおったつや髪にするため」
「ツバキ油で髪のツヤを出す。」
「オンナ度アップのつや髪アイテム」
(2)「実感キャンペーン」の語について
以下のような使用の事実がある。
「髪質実感キャンペーン」
「髪爽快実感キャンペーン」
「うるおい実感キャンペーン開催」
「ビタミンCのチカラ実感キャンペーン」
「さらツヤ夏髪実感キャンペーン」
「ゼロ金利時代実感キャンペーン」
「麦のうまみ実感キャンペーン」
「うまいを実感キャンペーン」
(3)「つや髪(艶髪・ツヤ髪)」「実感キャンペーン」の使用の事実から検討
ⅰ)
「つや髪(艶髪・ツヤ髪)」は、頭髪用化粧品等を取り扱う分野においては、「つやのある髪」を意味するもの、進んで、「つやのある髪にする商品」ほどの意味合いを有するものとして、普通に採択、使用されていた実情にある。
ⅱ)
「実感キャンペーン」は、様々な商品に関し、その販売促進のための宣伝広告活動において、従来の商品にはみられない当該商品の特性、良質さ等を表す語に、「実際に接して起こる感じ」などを意味する「実感」の語及び「組織的、継続的な宣伝広告活動」等を意味する「キャンペーン」の語を結合して頻繁に使用されていた実情にある。
2 本件商標の商標法第3条第1項第6号該当性
本件商標の「つや髪」は、「つやのある髪」ほどの意味合いを有する語として使用されている。
また、「実感キャンペーン」は、ある商品について試供品を提供することにより、その商品の良さを実感してもらうというようなキャンペーンについて、普通に使用されている。
そうすると、「つや髪実感キャンペーン」は「つやのある髪を実感することができる商品に関する宣伝広告活動(キャンペーン)」の意味合いを表したと認識するにとどまるものと認められるから、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標である。
よって、 本件商標は、その指定商品について使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない商標であり、その登録査定時において、商標法第3条第1項第6号に該当する商標であった。
◆コメント:
商標審査基準 第3条第1項には以下の記載がある。
—
2.指定商品若しくは指定役務の宣伝広告、又は指定商品若しくは指定役務との直接的な関連性は弱いものの企業理念・経営方針等を表示する標章のみからなる商標について
(1) 出願商標が、その商品若しくは役務の宣伝広告又は企業理念・経営方針等を普通に用いられる方法で表示したものとしてのみ認識させる場合には、本号に該当すると判断する。
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本件は、これに該当するという判断であるのだが、何か釈然としないものを感じる。
「つや髪」はいくつか使用例はあるものの、「つやのある髪」と想起できず、造語といってよいのではないだろうか。