◆対象商標:
「ココツバキ」
第3類「椿油を使用した化粧品」
◆種別と異議申立番号:
異議の決定
異議2017-900072
◆異議決定日:
2017/11/14
◆関連条文:
商標法第4条第1項第11号
◆引用商標:
1 登録第2704127号商標 「COCO」
2 登録第520006号商標「Co Co\コ コ」
3 登録第4492799号商標 「COCO MADEMOISELLE」
4 国際登録第1108062号商標 「COCO NOIR」
登録第5901097号商標の商標登録を取り消す。
◆理由:
1 申立人商標の著名性について
申立人の提出した証拠等によれば、申立人商標は、申立人の業務に係る商品「香水」を表示するものとして、本件商標の登録出願日前より、香水の分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認められ、その著名性は、本件商標の登録査定日においても継続していたものと認めることができる。
2 商標の類否判断
商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品又は役務に係る取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする(最高裁昭和39年(行ツ)第110号、同43年2月27日第三小法廷判決)。
そして、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、商標の各構成部分がそれぞれ分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合において、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、原則として許されない。
他方、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも、許されるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号、同38年12月5日第一小法廷判決、最高裁平成3年(行ツ)第103号、同5年9月10日第二小法廷判決、最高裁平成19年(行ヒ)第223号、同20年9月8日第二小法廷判決)。
以上を踏まえて、本件商標と引用商標との類否について判断する。
3 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、「ツバキ」が、指定商品との関係から、商品の原材料を直ちに想起させるものであり、自他商品の識別力がないか、もしくは極めて弱いものである。
また、上記1のとおり、本件商標の構成中の「ココ」の文字は、本件商標の登録出願日には既に、申立人の業務に係る商品「香水」を表示するものとして、我が国の香水を取り扱う分野の取引者、需要者の間に広く認識されていた申立人商標のうち、「ココ」と同一の綴り文字からなり、また、これより生ずる「ココ」の称呼も同一である。
そうすると、本件商標をその指定商品について使用した場合には、本件商標の構成中「ココ」の文字部分が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与え、当該文字部分をもって取引に資されるということができるから、本件商標から「ココ」の文字部分を要部として抽出し、これを引用商標と比較して商標の類否を判断することは許されるというべきである。
したがって、本件商標は、構成全体から生ずる「ココツバキ」の称呼のほか、本件商標の構成中、要部である「ココ」の文字部分から「ココ」の称呼及び申立人の著名ブランドとしての「COCO」又は「ココ」の観念をも生ずるものである。
(2)引用商標
引用商標1
称呼:
「ココ」
観念:
申立人の著名ブランドとしての「COCO」又は「ココ」の観念を生ずる。
引用商標2
称呼:
「ココ」
観念:
申立人の著名ブランドとしての「COCO」又は「ココ」の観念を生ずる。
引用商標3
称呼:
「ココマドマゼル」および「ココ」
観念:
申立人の著名ブランドとしての「COCO」又は「ココ」の観念を生ずる。
引用商標4
称呼:
「ココノワール」および「ココ」
観念:
申立人の著名ブランドとしての「COCO」又は「ココ」の観念を生ずる。
(3)本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標2とは、外観上類似し、称呼及び観念を同一にするものであり、本件商標と引用商標1、3及び4とは、外観において異なるとしても、称呼及び観念を同一にするものであるから、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否
本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、同一又は類似の商品と認めることができる。
(5)小括
これより、本件商標は、引用商標と類似する商標であって、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品に使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
◆コメント
本審決のポイントは、本件商標「ココツバキ」の要部が「ココ」であると認定されたことに尽きる。
このような認定がされたのは、「COCO(ココ)」が商品「香水」として著名であると認定されたことが大きく影響している。
仮に著名であると認定されなければ、本件商標「ココツバキ」の要部は「ココ」と認定されなかったであろう。